英語の進行相について例文を用いながらまとめました。
日常で使う範囲で進行形を勉強しようと思っている方は、最初の相に関しての解説は飛ばし
現在進行形(Present Progressive)の基本3用法【日大通信】
から読み進めることをオススメします。
目次
進行相(Progressive aspect)とは【日大通信】英語学習
進行相(Progressive aspect)とはある出来事を内側からの視点で概して見ることである。
【語彙的アスペクト】Vendler(1967)による英語動詞句の4分類
Vendler(1967)による分類では英語動詞句を以下の4タイプに分類している
- 状態(States)
- 活動(Activities)
- 達成(Achievements)
- 完成(Accomplishments)
動詞句を構成する要素のこのような語彙的特性は語彙的アスペクトと呼ばれている。
【文法的アスペクト】
語彙的アスペクトに対するもう1つのアスペクトの捉え方として、文法的アスペクトがある。それは主に話し手がどのような時間的視点から出来事を捉えているかを文法標識によって表現する形式である。
下記の2文を例にとる
- 「道を歩いた」
- 「道を歩いていた」
話し手の視点が「歩く」という動作の起点から終点までを全体として捉えていれば「完結相」を表し「道を歩いた」が使われ、
話し手の視点が「歩く」ことの一部分だけを捉えていて起点・終点が視野に入っていない場合には、「道を歩いていた」という「継続相」が使われる。
すなわち動詞の示す行為が以下のどれかを言わんとするものである。
- 「始まったところ」:起動相(Inchoative aspect)
- 「その途中」:継続相(Durative aspect)
- 「終わってしまった」:完結相(Effective aspect)
英語では以下のように表す
- 起動相:それを表す文法形式は無く、start、beginなどの語を用いて表される。
- 継続相:進行形(be+過去分詞)という文法形式を用いるか、keep(on)、continueなどの語の助けを借りて表される。
- 完結相(終了相):完了形(have +過去分詞)という文法形式を用いるか、finish、stopなどの語を使って表す。
相の観点から見た動詞(句)(状況)の4分類 / Vendler(1967)
→素性→ ↓動詞(句)の種類↓ |
Durative | Dynamic | End-point |
State | ◯ | × | × |
Activity | ◯ | ◯ | × |
Accomplishment | ◯ | ◯ | ◯ |
Achievement | × | ◯ | ◯ |
- Durative:継続的・持続的⇄Momentary:瞬間的
- Dynamic:動的(動きが感じられる)⇄Stative:状態的
- End-point:活動に終わりがある⇄unbounded:半永久的
Stateを例にとってみてみる
- He is tall.(彼は背が高い:永続的)
- I have a dog.(私は犬を飼っている)
- She is angry.(彼女は怒っている)
これら3つは全てStateに分類される動詞だが前述した文から後述した文に向かい状態度が落ちている。
He is tall.は永続的だがShe is angry.は非永続的である。
下記の例のように状態度によって進行形の可否が変わる
✳︎He is being tall.;He is being angry.
相の観点から見た動詞(句)(状況)の11分類
このようなことから、Vendlerの動詞(句)の4分類からさらに細分化が進み、今日以下の11タイプに分類されている。
Stative(状態系統)から細分化された3タイプ
- QUALITY
- STATE
例文:He was always being angry.(彼はいつも怒ってばかりいる)
頻度の高い副詞+being+形容詞
非難・苛立ち・賛賞の感情が強調され、時にその状態をやめて欲しい意思を表すことができる。(わざとやっている、騙すような意味) - STANCE
現在形だとQUALITY、進行形では一時的(※命令文だと逆になる)
段階的にスッパリ分けられるタイプ
Dynamicから細分化された8タイプ
持続瞬時性の観点からまず2つに分けられ、次にそれぞれエンドポイントの有無、最後に生物・非生物か無意識かという観点で分類され8タイプになる。
Dynamicから細分化される全ての動詞は進行形に出来る。
- Goings-on(Dynamic→Durative→Non conclusive and durative→Nonagentive)
- Activities(Dynamic→Durative→Non conclusive and durative→Agentive)
例文:I have been studying English since 2017.
現在完了進行形を用いある時点から現時点でも継続している様子を表現できる。現在完了系でも過去と現在の継続を表すが、現在完了進行形の方がより動作が継続している様子を表現できる。 - Processes(Dynamic→Durative→Non conclusive and durative→Nonagentive)
- Accomplishments(Dynamic→Durative→Non conclusive and durative→Agentive)
- Momentary events(Dynamic→Punctual→Non conclusive and punctual→Non agentive)
Momentary actsのような動詞の中でsneeze, blinkのような無意識なものや、flash, explode, bounceのような非生物に分類されるものはMomentary eventsタイプの動詞(句)に属する。 - Momentary acts(Dynamic→Punctual→Non conclusive and punctual→Agentive)
例文:He is kicking the Punching bag.
tap, nad, fire(a gun), kick, hit, jump などがこのタイプに属し、これらの瞬間的な動作の意味がある動詞をing形にすると、繰り返される動作の意味になる。
例文はキックをしている動作の途中ではなく、キックを何回も繰り返している、トレーニング中と言える。 - Transitional events(Dynamic→Punctual→Conclusive and punctual→Non agentive)
例文:Tokyo Fashion week is starting next week.
確定した(根拠のある)近い未来の事にも進行形を用いることが出来る。willを用いると予測や未確定な含みが含まれる表現になり、be going toの形を用いるとbe startingに近い表現になる。
エンドポイントのあるtake off, arrive, die などを進行形にすると「〜しかけている」と言う表現になる。 - Transitional acts(Dynamic→Punctual→Conclusive and punctual→Agentive)
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現在進行形(Present Progressive)の基本3用法【日大通信】
1.現に進行中または継続中の動作
進行中
例文:We are satelliting live from Berlin.
訳:ベルリンから衛星生中継をしています
接近(進行中)
例文:The old man is dying.
訳:老人が老衰死しそうである
動から静へというようなある時点での終止か達成への移行の意を表す動詞の進行形は、その時点への接近を表し「~しかけている」という意味を表す。
この種の動詞には以下のようなものがある。
- take off
- arrive
- die
- become
- fall
- get
- go
- lose
- stop
限られた期間内の動作
例文:I usually drink hot coffee at breakfast, but this morning I am drinking coke.
訳:私はいつも朝食にホットコーヒーを飲むが、今朝はコーラを飲んでいます。
この文ではdrink(現在形)は習慣的動作を表し、一方でis drinking(現在進行形)は限られた期間内の動作を表している。
動作の反復
例文:Someone is Knocking the door.
訳:誰かがドアをノックしている。
knockのような瞬間的な動作を示す動詞はing形にすると、その動作の反復を表す。
代表的な動詞で以下のようなものがある。(これらの動詞のタイプを11分類に細分すると、意味はその動作の反復で同じであるが、意識的か無意識か、生物か非生物かによってそれぞれ別のタイプに分類される)
- tap
- nod
- fire(a gun)
- kick
- hit
- jump
- sneeze(無意識)
- blink(無意識)
- flash(非生物)
- explode(非生物)
- bounce(非生物)
限定された期間内の事柄(継続)
例文:I understand you are taking cuter lessons twice a week.
訳:週2回ギターを習ってるそうだね。
必ずしも発話時に動作が行われているとは限らず、通常限定された期間内の事柄について言う。
2.進行・継続だけを表す表現
進行・継続だけを表す
例文:Time flies, when you are having a wonderful time.
訳:楽しいことをしていると、時間が経つのがとてもはやい。
現在進行形の持つ「進行」の相だけを利用したもので、時が現在に特定されない。
3.近い未来の予定
近い未来の個人的な予定
例文:I am going to Kyoto next Sunday.
訳:私は次の日曜に京都に行くことになっている。
近い未来の個人的な予定を表し、動作は現に進行中で、その手配や約束ができているという含みを持つ。
未来を表すbe going toを使うより「はっきり決まっている予定」というニュアンスが強くなる。
その他の進行相(Progressive aspect)【日大通信】
感情的色彩(Emotional coloring)
例文:He is always complaining.
訳:彼はいつも文句ばかり言っている。
副詞語句を伴って動作の反復を強調する場合、話者の非難・困惑・賞賛(希に)などの感情的色彩が加わることが多く、実際には非難などネガティブな気持ちを含む場合がほとんどである。
この例文からは、話者がうんざりしている様子がうかがえる。
状態動詞の進行形
例文1:She is being difficult.
訳1:彼女はわざとすねている。
例文2:What are you thinking about?
訳2:何を考えていますか?
以下の場合に限り進行形になることがある。
- 一時的な状態を言う場合
- 動作動詞になる場合
意図が実現しなかった含みを持つ
例文:I was just going to catch the cicada when it got away.
訳:ちょうどセミを捕まえようとした時、逃げてしまった。
意味は現在で丁寧な依頼を表す
例文:I was hoping you could contact me.
訳:ご連絡を頂ければありがたく存じますが
丁寧さは現在形より過去形、単純形より進行形の方が強くなる。
進行形:ためらい
未来進行形(Future Progressive)【進行相(Progressive aspect)】
基本的に現在進行形と同じ原理である。未来進行形は単純未来だけで意志未来はない。
- 未来のある時点で進行中または継続中の動作
- 仮定法で2つの事柄に同一性をもたらす現在進行中の動作の推量
- 関係者の意思や意図とは無関係で起こる当然の未来を表す。
例文:At about 7a.m. tomorrow, the typhoon will probably be hitting Kochi.
訳:明日の午前7時ごろ、その台風は高知に上陸するでしょう。
完了進行形(現在・過去・未来)【進行相(Progressive aspect)】
現在完了進行形は過去のある時から現在まで続いてきた動作・出来事を表し以下の2パターンがある。
- 今後も続くことを暗示する場合
- 直前に終了したことを表す場合
過去完了進行形・未来完了進行形は現在完了進行形の時の時点をそれぞれに移した意味に用いる。
【参考文献】進行相(Progressive aspect)とは
A Comprehensive Grammar of the English Language
- P197-211
- 著者:Quirk et al.
- 出版年月日:1985年
英文法解説改訂三版
- P226-234
- 著者:江川秦一郎
- 出版社:金子書房
- 出版年月日:1991年
テンスとアスペクトの語法
- P107
- 著者:柏野健次
- 出版社:開拓社
- 出版年月日:1999年
表現のための実践ロイヤル英文法
- P66-74
- 著者:綿貫陽 / マーク・ピーターセン
- 出版社:旺文社
- 出版年月日:2011年9月13日